超小型衛星HIT-SAT

図1 HIT-SATの写真
北海道衛星とは、北海道内で設計し製造する小型の商用衛星である。本プロジェクトが想定するユーザーは北海道内にとどまることなく全国を対象としている。
人工衛星は必ずひとつのミッションを持っている。ミッションとは日本語では使命という意味だが、北海道衛星プロジェクトもひとつの使命を遂行するために2003年4月15日に立ち上げたプロジェクトである。北海道衛星プロジェクトの使命とは、日本に民主導の新しい宇宙産業を創造することにあり、その手段として私たちは小型衛星による宇宙ビジネスの成功事例を作りたいと考えている。衛星開発においては従来の開発品の発想か工業製品へのイノベーションが必要である。衛星を小型化することにより、プロジェクト経費が下がり、大学や民間企業が参加できる環境ができる。これは従来の国家主導の大型プロジェクトの流れとは異なる新たな宇宙産業の芽を生み出す流れといえる。
宇宙産業創造の過程において、スピンオフといって、宇宙技術を民生へ応用して新しい商品を作り、そこからビジネスを興していく流れを奨励している。2004年には宇宙ビジネスセミナーを月1回程度の頻度で道内の様々な場所で開催した。2005年には札幌商工会議所内の定例行事として宇宙ビジネス勉強会を開催し、その中から衛星やそのスピンオフ技術を応用した新たなビジネスの芽が2件生まれている。
現在の北海道衛星プロジェクトでは、衛星バス(注1)として、一般公募で『大樹(たいき)』と命名された農業リモートセンシング用衛星バスと、宇宙コンテンツ配信サービス事業のために検討を進めている10kg級衛星バスの2種類の準備を進めている。
注1: バスとはミッション機器を除いた衛星の基本機能のこと。パソコンで例えるならば、ソフトをインストールする前のパソコン本体部分をバス機器といい、仕事に使うソフトや外部インターフェースをミッション機器という。
北海道衛星の開発に先立って、2006年9月に大きさが12cm立方、重量3kgの超小型衛星を宇宙航空研究開発機構(JAXA)の鹿児島県内之浦射場から太陽観測衛星SOLAR-Bにピギーバック(相乗り)として打ち上げる計画が進んでいる。非常に小さな衛星ではあるが、北海道で開発した初めての人工衛星となる。HITSAT開発の目的は、北海道衛星開発に向けて集まっている研究者、学生、エンジニアらが実際に衛星の打ち上げに携わることにより、短期間で実際の宇宙開発の経験を蓄積することにある。HITSATという名前の由来だが、HITとは北海道工業大学つまりHokkaido Institute of Technologyの略称で、スポンサーである北海道工業大学同窓会にちなんで名づけられたものだ。
この小さな衛星は、主衛星であるSOLAR-Bが放出された後、分離機構によりロケットから宇宙空間へ射出される。ミッションの内容は、電源系の充放電サイクルに伴う軌道上での劣化評価、熱設計の軌道上での評価、衛星分離機構の機能確認、衛星通信の基礎データ取得、搭載コンピュータ(CPU)の宇宙放射線による誤作動確率の評価、姿勢制御実験、等を予定している。HITSATの開発には、私(佐鳥新)をプロジェクトリーダー(PL)に、通信系を道工大の三橋龍一助教授と博士課程の佐藤立博君らが、姿勢制御系を北大の石村康生助手と学生が、熱・構造系を北大の戸谷剛助手と学生及び赤平の企業のエンジニア(ボランティア)が、電気系全般を道工大の学生と企業のエンジニアによるボランティアの方々がそれぞれ担当した。平成18年9月23日午前6時-7時の間にいよいよ打ち上げられる。

図2 HIT-SATの部品配置

図3 HIT-SATフライトモデルと開発担当者

図4 M-Vロケットの打ち上げ (JAXA HPより転載)
M-V-7号機カウントダウン: http://www.isas.jaxa.jp/j/countdown/index.shtml
HIT-SATプロジェクト: http://www.hit.ac.jp/~satori/hitsat/index.html





