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Planet EYE 北海道から世界に通用する小型衛星の開発物語

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2007年01月 アーカイブ

2007年01月01日

鮮度アシストFC3117-11A

ブログではまだ量産版の商品『鮮度アシストFC3117-11A』を紹介していなかったので、今日は写真を披露したい。鮮度アシストというのは宇宙開発の技術を応用して葉モノ野菜の鮮度を数値化する計測器である。製造は北海道工業大学の大学発ベンチャーである北海道衛星株式会社が担当し、市場開拓と発売はエバ・ジャパン株式会社(港区高輪・野呂直樹社長)が担当している。
試作品から製造ラインを組んで量産する作業は今回初めて経験したのだが、とても一言では言えない苦労の連続であった。

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2007年01月16日

日本土木工業研究会の特別講演

今日は夕方から日本土木工業研究会の特別講演の講師として講演を依頼されていた。会場は札幌グランドホテル2階のグランドホール。大手ゼネコンの役員クラスの方々が140人も大きなホールに集まった。
昨年9月に打ち上げたHIT-SATのビデオ上映や、宇宙開発のスピンオフとして私たちが研究しているハイパースペクトル技術などの話題を紹介した。

2007年01月17日

トレンドたまご

昨日東京のNさんからの電話で、今日の午後からテレビ東京のワールドビジネスサテライトという番組の中の『トレンドたまご』というコーナーの取材があるという連絡を受けた。鮮度アシストが取り上げられるというのだ。ハイパースペクトルカメラの実物も見せて、宇宙開発のスピンオフ商品であることをアピールすることになり、急遽、早朝便で修士2年のT内君がハイパーを東京へ持っていくことになったのだ。13時から17時45分頃までの長時間の撮影になったと聞いている。

午前中には鮮度アシストの梱包に用いるダンボールを1000個受け取った。折りたたんだ状態でも3畳ほどの空間が占有された。

18時からHoPEという産学官連携の団体が主催するHoPE新春講演会が研究成果活用プラザ北海道であり、私は特別講演の講師として参加した。今回の講演では北海道衛星プロジェクトの概説、百年の計としての宇宙開発の意義、鮮度アシストのマーケティングおよび大学発ベンチャーの経営に関する話をした。

2007年01月18日

読書記録(遠赤外線リモートセンシング熱計測法)

書 名:遠赤外線リモートセンシング熱計測法
著 書:岡本芳三
出版社:コロナ社

基礎編と応用編からなる。基礎編では赤外線撮像装置(サーモグラフィー)の原理と伽リブレーションの方法について詳細に記述されている。

応用編から幾つか紹介する。
○自動車タイヤの温度計測へ応用することにより、タイヤの耐久性を改善した事例
○半導体基板の冷却方法と伝達特性の最適化に応用した事例
○燃焼火炎の温度場計測への応用事例
○建築分野:タイル剥離層の検出
○建築分野:住宅壁の温度分布計測による室内の温度ムラの評価
○建築分野:液体漏洩箇所発見のための非破壊検査
○建築分野:モルタル吹き付け斜面の老朽化調査(非破壊検査)
○セラミックスの微小クラックの発見(非破壊検査)

2007年01月19日

第21回IT農業G研究会

日時:2007年1月19日(金) 15:00-17:30
場所:東京大学本郷キャンパス
   工学部2号館7階 産業機械会議室(73C2号室)

1.話題提供1
「リモートセンシング技術の応用による鮮度センサーの開発
-----宇宙技術のスピンオフ-----」
 北海道工業大学・電気電子工学科 助教授 佐鳥新氏

 (製品紹介)
 エバ・ジャパン株式会社 営業本部 加美正明氏

2.話題提供2
 「小水力発電を利用した安心安全な無洗野菜を提供できる施設園芸システムの開発」
   -----プロジェクト提案に向けた議論-----
 東京大学大学院工学系研究科産業機械工学専攻 教授 山田一郎氏

3.その後の進め方についての議論


2007年01月24日

読書メモ(テラヘルツ波の基礎と応用)

書 名:テラヘルツ波の基礎と応用
著 書:西澤 潤一
出版社:工業調査会


テラヘルツ波は周波数が10の12乗ヘルツ以上の電磁波であり、波長は数百ミクロン?10ミクロン程度。遠赤外から赤外と呼ばれる大域の電磁波である。この帯域では分子の回転スペクトルと振動スペクトルが多数存在する。

○肝臓癌組織のテラヘルツイメージングの研究例

○タンネットダイオードを使った透過イメージングシステム。ICカードの内部を透視した実験例が紹介されている。

○YAGレーザーを励起光源とし、LiNbO3結晶を使ったパラメトリック発振器によるテラヘルツ波の発生実験事例。

○連続周波数可変リング型テラヘルツ波パラメトリック発信器の紹介。基本構成はリング型色素レーザーのテラヘルツ版といえる。

○1THz以上の帯域に主要な禁止薬物類のスペクトルが存在することが科学警察研究所と著者のグループとの共同研究で確認。ここでいう禁止薬物類とは麻薬や覚せい剤などが対象となる。郵便物中の非破壊検査には1?3THzが最適。

○東北大学農学部テレヘルツ生物工学寄附講座の研究例として、農産物の鮮度に関する情報を得るために、葉の中に含まれる水分含有量をテラヘルツ波で非破壊的に可視化した事例を紹介している。

○エリプソメトリ型分光という光の偏光を利用した分光計測の紹介。

○全反射減光分光法
プリズムで全反射させた面からごく僅かに電磁波の染み出しが生ずることがしられており、この領域での電磁波をエバネセント波という。エバネセント波の発生領域に試料を配置すると、試料の複素屈折率を計測することができる。

○フォトニック結晶への応用例

○テラヘルツ波の吸収率の違いから水と引火性液体(ガソリン、ベンジン、灯油等)を識別できるという事例。

○有機化学分野でグルコースなどの糖類の分光測定に応用した研究事例。

○生化学分野ではアミノ酸の分光測定に使えることから、DNAと遺伝子診断に応用できる。

2007年01月25日

読書メモ(VLBI技術)

書 名:VLBI技術
著 書:近藤冨士信  近藤哲朗  高橋幸雄
出版社:オーム社

VLBIとは超長基線電波干渉計(Very Long Baseline Interferometry)といわれる技術で、空間的に離れた位置にある複数個の電波望遠鏡をあたかも1個の大型電波望遠鏡であるかのように連動させて測定する技術である。VLBIを用いると空間分解能を飛躍的に改善することができる。
VLBIを実現するためには、観測時間帯域(数時間=約1万秒)に対して、0.1ナノ秒以下の測定精度が必要となる。これは10の?14乗の安定度を要求するものであり、基準時間源として水素メーザーが使われる。

○直径積
2個の電波望遠鏡で干渉計を組む場合を想定し、それぞれの直径をD1[m]、D2[m]とすると、経験的に直径積S=D1×D2=100[m2]あれば良いことが知られている。中央局が30m級のアンテナを保有していれば、各所に配備するアンテナは3?4mのもので十分となる。

○空間分解能の改善効果
 電磁波の回折理論によれば、直径D[m]、波長λ[m]とすると、空間分解能はλ/D[rad]で与えられる。距離L[m]離れた2個のアンテナを共通のローカル信号で結合した電波干渉計を構成すると、空間分解能はλ/L[rad]に改善される。
 ローカル信号をケーブルで結合する場合にはLは10kmが限度であるが、同期させた原子時計を用いれば1万km以上の基線距離を持つ電波干渉計も可能となる。

○測地VLBIの精度
 地上測量の精度は6桁が限度といわれており、100kmの測定で10cmの誤差が入り込むことは避けられない。それに対し測地VLBIでは10桁の精度が確保できる。これは大陸間距離1万kmを1cmの精度で測定でき、大陸移動(プレートテクトロニクス)の年間数cmという超微速の動きを実際に検出できるようになった。

○データ解析
 相関処理が基本的な手法となる。かなり詳しく書かれている。

○物理モデルと補正の考え方
 ・月と太陽が地球回転に及ぼす歳差運動と章動運動の補正(最も影響大)
 ・大気遅延効果と電離層遅延効果の補正
 ・月と太陽の重力が地球の形状を変形させる潮汐効果の補正(年間で最大±2cm)
 ・重力場による光路の歪みを生ずる一般相対論効果の補正

○測地VLBIの研究事例紹介
 ハワイ局と鹿島局のアンテナを利用したプレート運動の実測例など。

2007年01月26日

読書メモ(コロナ現象)

書 名:コロナ現象
著 書:室岡 義廣
出版社:コロナ社

ひとことで言うと、様々なところに現われている弱電離プラズマ現象の解説書といえる。

○針の先端から発生するコロナ放電をロケット推進に応用するアイディア
 イオンクラフトでも知られるイオン風をイオンロケットに使うアイディアらしいのだが、ロケット方程式の考えが入っておらず、現実的と思われる。

○流動帯電
 ガソリンなど可燃性の燃料の多くは絶縁体であることから、長く伸ばしたホース中に流体を流すと表面での摩擦による帯電が起こることが知られている。これを流動帯電という。ちょっとしたきっかけで放電が発生して火災が発生することもあるらしい。

○オーロラ上空のプラズマ電流
 オーロラ上空では磁力線に沿って太陽から流入した電子による100KAから1MA(メガアンペア)程度の電流が流れている。通常、太陽風のエネルギーは50-200[eV(エレクトロン・ボルト)]であるが、オーロラ特有の発光現象が起こるためには5,000-10,000[eV]まで何らかのメカニズムによる加速が必要だという。
 次にオーロラの色だが、赤は酸素原子から放出される630nmの発光で、同じく酸素原子が電離する際に生ずる557nmの緑の発光などが主体ということ。

○雷の物理量
 積乱雲の帯電量: 20-200[C(クーロン)]
 雷の電流: 10,000-100,000[A]
 雷の電圧: 1億ボルトのオーダー
 
 (検証)
  (1)地上での電界強度が1,400[V/cm]になると雷が発生する。
  (2)夏期の雷雲の運低は1-3km
   (1)、(2)より V=1,400[V/cm]×(1,000-3,000)×100[cm]
           =1.4-4.2億ボルト

○コロナ放電による植物成長促進実験
 コロナ放電雰囲気内でクローバーを育てたところ、成長速度と生育量の促進作用が見られたという。生育量では約2倍の大きさまで育ったと書かれていた。特許出願はしたそうだが、科学的には解明されていないという。

2007年01月27日

読書メモ(電気推進ロケット入門)

書 名:電気推進ロケット入門
著 書:栗木恭一  荒川義博
出版社:東京大学出版会

日本で初めての電機推進に関する本格的な教科書である。日本の電気推進の創始者である栗木恭一先生(東京大学名誉教授)ならではの深みのある名著といえる。電機推進の開発現場レベルからみても使える例題が豊富な点が本書の特徴といえる。


第1章 序論
 電機推進の概念と歴史

第2章 電機推進の基礎
 ロケット推進の基礎的考え方と電気推進の性能に関する基本概念の説明


第3章 放電およびプラズマの基礎

 電離気体の基本的な考え方(統計力学的扱い)、もっと密度の高い状態である電磁流体力学的な扱い方、たとえばプラズマ波動などが説明されている。
 電気推進の現象論を扱うに当たって特に重要なプラズマ乱流拡散でもあるボーム拡散に関する解説がある。


第4章 アークジェットスラスタ

 アークジェットスラスタとはアーク放電によりガスを加熱膨張させることで推進力を得る推進器である。電磁流体としての基礎方程式系およびエンジンの性能を決めるファクターがもれなく説明されている。このタイプのエンジンの実用化に向けた推進剤の選び方に関する考察は宇宙業界なれではの興味深い思想が伺える。


第5章 イオンスラスタ
 
 イオンエンジンの原理と基礎についての解説がある。イオンエンジンは土星より遠方の惑星探査のエンジンとして用いるならば絶大な威力を発揮する推進機といえる。
(私が大学院生の時代にはプリンストン大学のジャーン先生の古典的な書籍しかなかったものだが、わかりずらい概念を日本語で説明してくれているので、羨ましい限りである。)


第6章 MPDスラスタ

MPDスラスタとは、電磁プラズマ加速スラスタ(Magneto-Plasma-Dynamic Thruster)のことで、十分な電力を供給できれば燃焼を伴うロケットエンジンを超えた能力を発揮することができる。


第7章 ホールスラスタ

旧ソ連で実用化された歴史ある推進機に関する理論と国内での研究事例が紹介されている。


第8章 パルス型プラズマスラスタ


第9章 その他の推進
 
 レジストジェット、FEEP(フィープ)、太陽熱発電など。
 (8章と9章は業界的な流行の説明といってよいだろう。)


第10章 電機推進ミッション解析

第11章 電機推進ミッションの実例


2007年01月28日

CubeSAT設計会議@北海道

日時:2007年1月28日(日)14:00?16:30
場所:道工大8号館8109室
参加:大学教員(4名)、エンジニア(4名)、学部生及び大学院生(北大、道工大)
   ※石村先生はフランスからインターネット経由で参加。

議案

1.衛星データ解析の報告
 ○姿勢制御(松島)
 ○熱解析(榊原)

2.今後の運用方針
 ○今後の実験の要望(戸谷、石村、佐藤)
 ○アマチュア無線家向けサービスの開始時期について(三橋)
 
 
3.量産型衛星バス開発に関する提案
 ○提案内容(佐鳥)
 ・将来の北海道衛星シリーズ及びHIT-SAT後継機に向けて衛星コンポーネントのモジュール化を行うべきである。期限は2007年6月末までの約半年間。
 ・小型衛星量産化を北海道地区の衛星開発の特徴として打ち出すことが重要。
 ・ミッション要求が出た3日後にFMを完成させる体制の構築を最初の目標としたい。

 ○意見等
 ・この方針で進める。


4.CubeSAT型実験衛星のシリーズ化に関する提案
 ○提案内容(佐鳥)
 ・CubeSATを継続的に打ち上げて実力をつけるべきである。
 ・2008年から年2機ずつ継続的に打ち上げたい。

 ○意見等
 ・この方針で進める。


5.宇宙インフラ衛星の開発スケジュールについて
○提案内容(佐鳥)
 ・宇宙産業創造プロジェクトのミッションという位置付け
    NPO宇宙空間産業研究会(主催、CubeSAT開発の責任団体)
北海道衛星株式会社(モノづくり)
 エバ・ジャパン株式会社(市場創造、スピンオフ事業の世界展開)
 ・開始時期は2007年7月(モジュール化完了後から)。開発期間は2年(実質1.5年)。
 ・Kuバンド衛星と光通信衛星の2機を同時開発(ミッション機器以外を全て同一設計)
 ・商用衛星にアマチュア無線機のピギーバック方式とする。
 ・海外のロケットを使用する(ロシア、ウクライナ、カザフスタン等)
 ・地上局はアメリカを中心に海外にも設置する
   2007/1/17フロリダのタンパに会社設立。EBA USA LLC。
   年内にロサンゼルス、ハワイ、香港、フランクフルトを検討中。


6.第2回『地上の星実験』に関する提案
○提案内容(佐鳥)
 ・完全自動追尾型システムによる長距離光通信実験とする
 ・デジタル変調による10Mbps以上の通信速度を確保することが条件
  (第1回『地上の星実験』での回線設計の評価結果を反映させることとする。)
 ・プロジェクトリーダー: 青柳君
 ・時期:2007年10月

 ○意見
 ・植松電機に40cmの天体望遠鏡がある。予備実験には使えそう。

次回
日時: 2月18日(日)14:00
場所: 道工大8号館8109室
内容: HIT-SAT開発及び運用に関する反省会 
担当は北大の戸谷先生

プロフィール:佐鳥 新

北海道工業大学 電気電子工学科 助教授、北海道衛星株式会社 代表取締役社長、NPO法人宇宙空間産業研究会 理事長、有限会社Catch the Dreams 代表取締役、有限会社先端技術研究所
東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻にて博士課程取得後、宇宙科学研究所(現JAXA)の助手となる。大学院時代から宇宙科学研究所にて小惑星探査衛星「はやぶさ」に搭載されたイオンエンジンや次世代推進として期待される反物質推進に関する研究を行った。当時の所長が道工大に赴任したこともあり、1998年10月から北海道に移る。1998年に有限会社先端技術研究所を設立しマイクロ波エンジンの開発に着手し、2004年3月に完成させた。2003年4月から福島氏と共に北海道衛星プロジェクトを立ち上げ現在に至る。

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