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Planet EYE 北海道から世界に通用する小型衛星の開発物語

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2007年02月 アーカイブ

2007年02月01日

読書メモ(イオンエンジンによる動力航行 )

書 名:イオンエンジンによる動力航行
著 書:國中 均  中山 宜典  西山 和孝 (荒川 義博 監修)
出版社:コロナ社


イオンエンジンという惑星探査用エンジンに関して、近年稀にみるほど詳細に書かれている書籍である。著書の最先端の宇宙探査機の開発における鋭い視点から、現場のエンジニアらが現実の設計で考えなければならない設計手法を余すところなく詳述されている。
しかし、本書はイオンエンジンの研究を目指す大学院生および開発実務者にとってのバイブルとなることは間違いなく、名著として歴史に残る書籍といえる。

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2007年02月06日

国際宇宙ステーションに関する書籍の紹介

書 名:宇宙ステーションと支援技術
著 書:狼 嘉彰  冨田 信之  堀川 康  白木 邦明
出版社:コロナ社


第1章 宇宙ステーションの概要
ここでは旧ソ連のサリュート・ミール計画に関する開発経緯を簡単に説明する。旧ソ連の有人宇宙計画は1960年代後半に開発されたソユーズを軸に展開されたといってよい。
 第1世代:サリュート(1号-5号)
   ・1号では帰還時に空気抜けの事故が起こり3名の宇宙飛行士が死亡。
 第2世代:サリュート(6号-7号)
   ・宇宙での長期滞在が可能となった。6号で計676日、7号で計812日。
 第3世代:ミール
   ・6個のドッキングポートを持ち、サリュートを複数個合体させることができる。
   ・1993年、ロシアはミールをやめて国際宇宙ステーションへの参加を決定。
   ・2001年3月25日、南太平洋海域に落下。


第2章 国際宇宙ステーションの構成とサブシステム
 国際宇宙ステーション(ISS)の設計条件と環境衛生システムのセンサーに関する記述が興味深かったので紹介する。

【1】国際宇宙ステーションの制約条件
 ・実験に使用できる電力:45kW
 ・最大搭乗員数:搭乗員サッシュ津用ソユーズ宇宙船の登場員数が3名、2機で計6名。
 ・軌道傾斜角:カザフスタンのバイコヌール宇宙センターから打ち上げ可能な51.6度。
 ・軌道高度:空気抵抗による軌道低下とランデブー能力の妥協点で最高許容高度460km。
 ・運用寿命:運用寿命は10年、実際には、部品交換などにより延長可能、非交換部品である構造の設計寿命は15年。

【2】国際宇宙ステーションへの要求条件
 ・ミッション要求:材料・ライフサイエンス実験を行うための微小重力レベル(年間180日及び連続して30日を維持)、実験用ガス・水・電力の供給、真空排気、排熱、通信などの提供。
 ・搭乗員対応要求:搭乗員の居住環境、運用、操作、生活に関する諸要求。
    大気圧: 0.096-0.103Mpa
    酸素分圧: 0.019-0.023Mpa
    室温: 18.3℃-29.4℃
    湿度: 25%-75%

【3】環境衛生システムのセンサー
 ・TOCA:水質をモニターする有機炭素分析計
 ・WSA:水採取キット
 ・WMK:微生物をモニターする水中微生物キット
 ・SSK:モジュール内の表面汚染サンプルキット
 ・MAS:空中微生物サンプル採取キット
 ・TEPC:放射線をモニターする組織等価比例計数管
 ・個人線量計
 ・IV-CPDS:船内荷電粒子方向性スペクトロメータ
 ・CSA-CP:化学物質分析計(一酸化炭素、シアン化水素、塩化水素、酸素濃度等)
 ・VOA:揮発性有機ガス分析計(トリクロロエタン、ブタノール、エタノール等)


第3章 日本の実験モジュール「きぼう」
日本の実験モジュール(JAM)開発の経緯
 ・1982年5月にNASAが宇宙ステーション計画の概念設計検討開始(フェーズA)。
 ・同年8月に宇宙開発委員会が宇宙基地計画特別部会を設置。
 ・1985年5月、NASAと予備設計(フェーズB)への参加の了解覚書(MOU)を締結。
 ・1992年- JEM詳細設計開始


第4章 セントリフュージ
 重力が生物に合い当てる影響を研究するための生命科学実験設備のこと。

第5章 国際宇宙ステーションの運用

第6章 国際宇宙ステーションの利用

第7章 宇宙飛行士の選抜と訓練
 宇宙飛行士の選抜は書類選考の後、第1次選抜から第3次選抜まである。
 日本の宇宙飛行士の応募条件を幾つか抜粋して紹介する。
  ・国籍:日本国籍を有すること
  ・学歴:自然科学系の大学を卒業していること
  ・実務経験:自然科学系の研究、設計、開発などでの3年以上の実務経験
  ・語学能力:英語が堪能であること
  ・医学的特性:身長(149cm-193cm)、視力(裸眼で0.1以上、矯正視力で1.0以上)
  ・心理学的特性:協調性、適応性、情緒安定性など


第8章 国際宇宙ステーションの国際協定と管理

第9章 将来に向けての宇宙ステーション構想

2007年02月10日

成層圏気球に関する書籍紹介

書 名:気球工学
著 書:矢島 信之  井筒 直樹  今井 剛  阿部 豊雄
出版社:コロナ社


私が宇宙科学研究所にいた当時も三陸で定期的に気球実験を行っていたのを覚えている。確か私が大学院の学生の頃に工業技術院から矢島先生が赴任されたように記憶している。
今回この書籍を読み、気球実験をやっていた方々の仕事や、その分野特有の面白さを知ることができた。気球といえば私など一般人には熱気球ぐらいしか思いつかないのだが、高度40kmにも達する成層圏気球となると、奥が深く、匠の技を感じさせられた。

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第1章  序論

第2章  気球の工学的基礎

第3章  成層圏気球

第4章  惑星気球

第5章  気球の将来
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図 大型気球の放球風景(NASA)

テキサス州のRaven社という気球工場の話を紹介する。
大型の成層圏気球は容積100万m3にも達するものがあり、この気球を地上に置いた長さは200mにもなる。前後の作業スペースを加えると300mほどの建物が必要になるという。長い木製のテーブルの上に皮膜用のフィルムを置き、作業テーブルを往復しながら接着剤で1枚ずつ貼り合わせていく。往復の総距離はなんと400kmにもなるという。6人1チームの女性の作業員が淡々と作業し約6週間で完成させている。1人当たりの1日の歩行距離は10kmを超えるそうだ。

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図 気球の熱バランス

気球の力学的な面白さ(複雑さ)は浮力の発生が日照条件や高度に伴う気圧変化が直接的に影響しあっている点にある。本気でシミュレーションしようとすれば非常に複雑になるが、1次元モデルならば格好の物理教材となる。気体力学、力学、熱工学などの総合演習となるので学部3年生ぐらいの授業で使えば面白いのではないだろうか。


当為の科学

現代の科学は客観的に同じ手法で実験し同じ結果が得られるという前提の上に組み立てられている。この思考法はカントから始まったものと言われているが、しかし価値中立的に見るならば、これは自然界の在り方を限定的な局面だけから見ていることも事実であろう。かつて理論物理学者のホーキングは人間原理という考え方を提唱し、宇宙を支配する4つの力のパラメータのバランスは人間を存在させるために絶妙に調整されているのではないかと指摘している。これはミクロには素粒子に始まりマクロには天体現象など、物質はその組み合わせによって構成される生命など、上位概念を宇宙の中に具現化し、その中で新たな価値(例えば動物社会など)を創造するためにあるという見方もできる。動物社会というのは、例えば、象など草食動物が群れをなして生活し、肉食動物がチームで猟をする行動様式を意味する。

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2007年02月17日

読書メモ(植物生産における計測・制御・情報)

書 名:植物生産に計測・制御・情報
著 書:(社)計測自動制御学会 編
出版社:コロナ社

1988年に出版された古い本ではあったが、植物の生育計測に関する基本原理や計測器の作り方などが丁寧に書かれており、(私のような)新参者には有用な書籍といえる。

私達は宇宙技術であるハイパースペクトル技術の応用として植物の光合成量を数値化する計測器『鮮度アシスト』を開発したのだが、この当時には光合成量の数値化には、?炭酸ガス交換量、?蒸散量、?気孔開度(気孔が何μm開いたかという計測値)の3種類を用いていた。

また、画像計測により葉の障害部を可視化する手法として、正常部と障害部の分広範車両が大きく出る0.67μmの波長(クロロフィルaの吸収帯)を用いていたことは興味深かった。(リモートセンシングに用いられる正規化植生指数(NDVI)はこういう研究背景から生み出されたのかもしれない。)

植物栽培用の光源の比較結果が興味深かったので紹介する。クロロフィルaの吸収帯に最も感度のある高圧ナトリウムランプを使用してサラダ菜を生育した場合、蛍光灯で生育させたものよりも黄色味を帯びて形状品質が劣るという。RGBのバランスが意外に重要だと書かれていた。そういえば植物工場の野菜を目玉商品にしている京都のレストランの経営者も「LEDを使って様々な照明を試したが、結局、蛍光灯が一番良かった」と話していたこととも一致している。こういう微妙なところが農業の難しさでもあるのだろう。

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プロフィール:佐鳥 新

北海道工業大学 電気電子工学科 助教授、北海道衛星株式会社 代表取締役社長、NPO法人宇宙空間産業研究会 理事長、有限会社Catch the Dreams 代表取締役、有限会社先端技術研究所
東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻にて博士課程取得後、宇宙科学研究所(現JAXA)の助手となる。大学院時代から宇宙科学研究所にて小惑星探査衛星「はやぶさ」に搭載されたイオンエンジンや次世代推進として期待される反物質推進に関する研究を行った。当時の所長が道工大に赴任したこともあり、1998年10月から北海道に移る。1998年に有限会社先端技術研究所を設立しマイクロ波エンジンの開発に着手し、2004年3月に完成させた。2003年4月から福島氏と共に北海道衛星プロジェクトを立ち上げ現在に至る。

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