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Planet EYE 北海道から世界に通用する小型衛星の開発物語

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当為の科学

現代の科学は客観的に同じ手法で実験し同じ結果が得られるという前提の上に組み立てられている。この思考法はカントから始まったものと言われているが、しかし価値中立的に見るならば、これは自然界の在り方を限定的な局面だけから見ていることも事実であろう。かつて理論物理学者のホーキングは人間原理という考え方を提唱し、宇宙を支配する4つの力のパラメータのバランスは人間を存在させるために絶妙に調整されているのではないかと指摘している。これはミクロには素粒子に始まりマクロには天体現象など、物質はその組み合わせによって構成される生命など、上位概念を宇宙の中に具現化し、その中で新たな価値(例えば動物社会など)を創造するためにあるという見方もできる。動物社会というのは、例えば、象など草食動物が群れをなして生活し、肉食動物がチームで猟をする行動様式を意味する。

ここで重要なのは、まず高次の理念が最初にあり、高次の理念がそれよりも低い次元の理念(物資を含む)を弁証法的に統合していくプロセスが存在していることである。動物社会は動物同士の行動を観察すればルールとして分かってくることだが、ルールそのものは目に見えない理念である。目に見えない理念が動物(物質) を支配しているのである。実はここに新しい科学の可能性がある。これまでのように下からの積み上げ式に法則を理解するのではなく、逆に、『上位概念を具現化するために宇宙の法則は創られている』という立場に立つのである。分かりやすく言えば、「こういうものを実現すると物質社会がより高次のフェーズに移行することができる。その為にはこのような法則があるべきだ。」という視点から自然界の法則性を理論化し実証していく立場に立つということだ。この立場に立って考えるためには、その前提条件として、宇宙は目に見えない上位概念あるいは高次の理念によって理想的に創られていることを信じることである。

人間の思考の本体、つまり精神もまた宇宙の中に許された存在形態であり、その組み合わせが作り出すイメージもまた宇宙の中の存在形態に包含されている。(数学の群論のイメージに近い。)つまり、およそ人間が考えられる全てのものには実在性があると言うことができる。精神、念いといった目に見えない形態も宇宙の中に許された存在形態のひとつであることは、必然的に当為の科学の立場を裏付けることになる。そして、その暗黙の前提は、弁証法的発展を促している上位の理念(精神)もまた物質と同様に宇宙の中に存在を許された実在であることを信じることなのだ。科学者や研究者にとって信じるという言葉に違和感があるならば、「理念が実在する立場を支持する」と言い換えてもよい。

しかし、従来の科学では低次元の理念が混合したときに偶然性をもって上位の理念に統合されていくことを暗黙の前提にしていることに気づくべきである。今仮に、誰か広場に材料を積んで置いたとしよう。自然に風が吹いてコンクリートが水と混合し、絶妙に地震が発生して建材が組みあがり、何百年待てばビルが建つだろうか。ビルの建設を意図する人と設計図がなければ絶対にあり得ないのは言うまでもない。しかし、実は従来の偶然性を前提条件とする科学的考え方はこれを信じるに等しい愚かさを無意識のうちに内包していたことに気づく必要がある。やはり、宇宙は目に見えない高次の理念によって理想的に創られていることを前提にして考える方がより信憑性が高いと言って良いだろうし、科学的態度として持っていても何ら違和感はないと思われる。ニュートンが万有引力を発見した背景にも同様な精神的態度があったとも言われているので、決して不自然な考え方ではない。

 以上をまとめると、従来の科学は物質がどのように存在しているかを調べることに主眼を置かれていたことから「存在の科学」と呼ぶべきで視点であり、今回提案する新しい科学の見方は「当為の科学」または「『かくあるべし』の科学」と表現できるだろう。

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プロフィール:佐鳥 新

北海道工業大学 電気電子工学科 助教授、北海道衛星株式会社 代表取締役社長、NPO法人宇宙空間産業研究会 理事長、有限会社Catch the Dreams 代表取締役、有限会社先端技術研究所
東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻にて博士課程取得後、宇宙科学研究所(現JAXA)の助手となる。大学院時代から宇宙科学研究所にて小惑星探査衛星「はやぶさ」に搭載されたイオンエンジンや次世代推進として期待される反物質推進に関する研究を行った。当時の所長が道工大に赴任したこともあり、1998年10月から北海道に移る。1998年に有限会社先端技術研究所を設立しマイクロ波エンジンの開発に着手し、2004年3月に完成させた。2003年4月から福島氏と共に北海道衛星プロジェクトを立ち上げ現在に至る。

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