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『精神や思考の成熟に見られる臨界期の法則』
初等理科教育研究所
佐鳥毅
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3.成熟比
現代脳科学では、知情意のトータルな脳ネットワークの臨界期や種に固有な生得的成熟比のメカニズムは全く未知である。こうしたことから、利根川進や一部の脳科学者は分子生物学的技法を取り入れて、遺伝子をコントロールした動物の行動をモニターし、脳ネットワークのメカニズムを探っている。(注4)脳の臨界期や脳の成熟現象のメカニズムを科学的に解明する新しい試みはやっと緒についたばかりである。成果はまだまだ先になるだろう。特に生得的プログラムはDNAの研究と深い関わりがある。DNAの実体は塩基配列にあるから脳ネットワークの臨界期に関与するプログラムの発見は簡単ではないだろう。
こうしたこともあり、基本方程式で計算して、ヒトとチンパンジーの臨界点を比較検討した結果成熟比には図4のような違いがあった。(注2)
図4 種に固有な成熟比
胎児の成長、幼児初期の発達、生涯発達の成熟の速さは異なるが、?式?式を見るとわかるように臨界常数は一定であるから、基準点が異なっても成熟比は同じである。図4の種に固有な成熟比は、ヒトは第8臨界点を1、チンパンジーの場合は第6臨界点を1と見たものである。
図4に、速さの異なるヒトの成熟現象を重ねたものが図5である。胎児の成長、幼児初期の発達、生涯発達は、図4のヒトの成熟比と一致する。
図5 ヒトの成熟比
胎児の成長には臨界期が8回あった。幼児初期にも8回あった。生涯精神発達ほ医療技術が進化したため、平均寿命は延びたが発達率が退化率を上回るのは第8臨界点までである。(注2)
胎児の成長、幼児初期の発達の第8臨界点は相の変わり目らしい。生涯精神発達の場合も同様で絶頂期の第8臨界点は相の変わり目に当たる。
生涯精神発達は発達率と退化率の関係でピーク年齢が決まる。普通は第8臨界点を過ぎると現状維持が精一杯である。精神発達は努力の対数に比例するから、幼児初期のリビドーの影響を受けやすい。第9臨界期に入ってからも哲学性が発達する方には、チャレンジ精神に富み、強靭な意志力を持った努力の人が多い。高齢者の課題である。
図6 幼児初期のリビドー
図6は人生の第1臨界期(誕生から3歳5か月)の森羅万象が勝手に飛び込む幼児初期に身に付く生きる力の源泉=リビドーのモデルである。ヒトの成熟比は、第1臨界期から第8臨界期までは発達率が退化率を上回ることを示している。
胎児は40週で生まれるとか、28週以降の早産は生存率が高いことはよく知られている。また三つ子の魂と言うコトバに象徴される3歳5か月頃までの子育ての重要性もよく知られている。
しかし、胎児の成長、三つ子の鶉の形成期には臨界期がそれぞれ8回あることは耳新しいだろう。同様に、七五三、元服、成人の臼、遺暦、古希、喜寿などの習わしは生涯発達の変調点を示しているとか、発達率が退化率を上回るのは第8臨界点までだということは考えてもみなかっただろう。
胎児の成長、幼児初期の発達を?式で計算した結果は、図4のヒトの成熟比と対応していた。
著者の考え方を初めて眼にした教師、大学及び研究機閑の研究者には、「精神発達関数は実際の現象に合うのか」「再現性が疑問だ」など、計算も作図もせずに、ただ疑問視する方が多かった。
図5に示した成熟比は、人類が長い歴史を通して実感してきた経験則を数値化したものである。赤ちゃんの頭位は32退から36週頃定まり、40週前後に誕生することを疑う方は1人もいないだろう。三つ子の魂は3歳半ばには身に付くことを疑う方がいるだろうか。健康な人間は80歳前後まで頭が冴え渡ることを否定できるだろうか。この論文に用いた成熟比のサンプルは、無限母集団を背景に持つ典型的なサンプルである。
生得的プログラムはまだ発見されていない。このため説得力に欠ける。そこで成熟過程が一般化されている胎児の成長と、幼児初期の観察記線をグラフに書込み、臨界点の精度を検討してみた。胎児の成長、幼児初期の発達は、図4、図5の成熟比と一致する様子を臨場感を高めて表現できるが、成熟描写を詳述できないため割愛した。











